福岡高等裁判所 昭和51年(行コ)8号 判決 1978年3月29日
控訴人(原告) 山田勝次
被控訴人(被告) 南関町長
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
一 控訴人は「原判決を取消す。被控訴人が中九州観光株式会社に対してなした昭和四六年度から昭和四八年度まで各一〇〇万円合計三〇〇万円のゴルフ場補助金交付処分を取消す。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、主文同旨の判決を求めた。
二 当事者双方の主張並びに証拠関係は、次に付加するほかは原判決の事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
1 控訴人の主張
(一) 本件ゴルフ場が、災害防止を兼ねた健全な娯楽産業であるというけれども、本件ゴルフ場は災害防止の機能を有するどころか、かえつて、建設以来今日まで、ゴルフ場から流出する土砂が周辺の農地、宅地に被害をもたらしているのが実情である。
(二) 本件ゴルフ場の建設により、多数の町民がゴルフ場の従業員、キヤデー等として雇用され、町の人口の流出と、町民の稼働の場所が与えられ、その福祉に役立つているというけれども、そのような事実は全くない。
(三) また、本件ゴルフ場は、固定資産税の増加、及び娯楽施設利用税交付金の交付をもたらし町財政に寄与している旨並びに町外からの多数のゴルフ場利用者が来町し、ゴルフ場が町内の業者から肥料、食料品等の物資を購入するため、町内の業者がその恩恵を受け、町内に利益を与えている旨いうけれども、そうした実益をもたらしていることはない。
2 証拠関係<省略>
理由
一 当裁判所は、控訴人の本訴請求は失当であつて、これを棄却すべきものと判断するものであるが、その理由は、次に付加、訂正するほかは原判決の理由説示と同一であるから、これを引用する。
1 原判決二の2の(一)の認定資料に成立に争いのない甲第八号証の一ないし五、当審証人林田浩征の証言及び同証言により真正に成立したと認められる乙第九号証を加える。
2 原判決五枚目表末行の「費用を要する等」の次に「農業地としての」を加え、同五枚目裏一行目から同二行目にかけて「訴外会社によりゴルフ場用地として開発された結果」とあるのを「後記のような経緯によつて、訴外会社が防災施設をしてゴルフ場に開発し、本件ゴルフ場を建設したことにより、」と訂正する。
3 同五枚目裏四行目から五行目にかけて「一日平均約五〇名(休日約六〇名)」とあるのを「一日平均常雇約二三名、アルバイト約二四名位」と訂正する。
4 同六枚目表一行目の「六二〇万円」を「六二三万五〇〇円」、同二行目の「第一期三四〇万円(第四期まである。)」を「七六二万二〇〇〇円」と各訂正し、同三行目の「しかも」以下同四行目の「予想される等して、」までを削除する。
5 同八枚目表九行目の「被告は」の次に「その旨の議案を町議会に提出し、」を加える。
二 そうすると、原判決は相当であつて、控訴人の本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 原政俊 権藤義臣 松尾俊一)